20世紀初頭のパリを舞台に、異国の地でそれぞれの夢を追い求めるふたりの日本人少女の奮闘を、繊細かつみずみずしく描いたアニメーション映画。
期待は半々ぐらいで観ましたが、シンプルでありながら、観て気持ちの良い爽やかな青春ドラマでした。
あらすじ
1900年代初頭のパリに、それぞれ日本からやって来たふたりの少女が暮らしていた。
ひとりは、夫を支えるよき妻となる将来を望まれながらも画家を夢みるフジコ。
もうひとりは、武家に生まれナギナタの名手だがバレエに心惹かれる千鶴。
かつて横浜で出会ったふたりは、トラブルに巻き込まれたフジコを千鶴が助けたことで、5年ぶりに再会を果たす。
千鶴の夢を知るフジコは、同じアパルトマンに暮らす青年ルスランの母オルガがロシア出身の元バレリーナであることを知り、レッスンを依頼する。
そんな中、フジコの保護者である叔父が失踪する事件が起こる。
観やすい展開
作品全体として、観ている以上のことは、あまり無いという印象です。
話の展開は、経過と結果があり、それを単純になぞる以外のことはやっていないと言う感じ。
そのため、見たまんまを受け入れていけばいいのですが、考察の余地や深みといったものはあまりありませんでした。
話の内容は、怒りや悲しみ、嫉妬などのマイナスの感情にフォーカスするような展開はあまりありません。
たとえそれらに触れそうな展開になっても、登場人物全員の聞き分けが良かったりなどして、次のシーンでは、もう収束しているといった模様。
トンデモ展開やご都合主義な所もそこそこにあります。
以上の点から、シンプルな出来でありましたが、人によっては浅いだとか、単純すぎると言う印象を受けるかもしれません。
ただ、その分見やすさやテンポは、かなり良かったように感じます。
もう少し起きる出来事を減らして、一つの出来事を引き延ばしても良かったようにも思えますが、総じて観やすい作品となっています。
レトロなビジュアル
作品の舞台自体は1900年代初頭。
それに合わせてか、視覚的な演出や作画なども、どことなくレトロ。
平成や昭和のジブリなどのアニメ作品を彷彿とさせるような演出や作画です。
奇抜すぎない落ち着いた色彩と、懐かしさを感じるビジュアルは、どこか親しみを感じるもので、個人的にその辺りも楽しめました。
聞き分けの良い登場人物達
登場人物が、基本的に良い人ばかりと言うのが、物語がテンポよく進む理由の一つです。
それぞれに立場がありますから、それに伴い思うところもあるでしょう。
しかし、おおよその人物の態度は非常に柔らかいもので、頑固すぎて聞く耳も持たないと言うような人物はほんの一部。
基本的には話に耳を傾けてくれ、何かしらのリアクションはしてくれると言うもの。
また、立ち直りも基本的に早い。
こういった性質のため、人同士の揉め事や確執が長引くことがなく、故にテンポが早めになっていると思われます。
それに伴って、人の絡みで、その時々の状況を見ていると、悪い予感がしたり、邪推したりと言うこともありますが、おおよそは肩透かしを喰らいます。
全力声優
メイン二人の声優さんですが、セリフの8割方は全力投球でしゃべっているような感じで、声圧が強かったです。
ボソボソしゃべったり、棒読みに比べると聞きやすく、感情も乗ってて頑張っているのが分かるので悪いとは言いません。
技術云々を抜きにすれば好感さえ持てます。
ただ、見終わった後に耳がかなり疲れていたように感じました。
総評
一言で言うと、さっぱりシンプルな作品。
シンプルでテンポは早めですが、大なり小なり共感できる部分が多く、感情がついていかないと言うようなこともないため、非常に見やすいです。
時代や立場を考えると暗い展開にもなりそうなところを、明るく展開させていたのは、好き嫌いはあるかもしれませんが、個人的にはあまりヤキモキせず観れるので評価は高めです。
話の内容・展開のさせ方・主題歌が一貫して、眩しく爽やかな雰囲気を形作っていたように思えます。
そんな作品でありましたので、良い気持ちで劇場を去ることができました。
評価
・評点 ・・・ 4.3 / 5
・脚本 ・・・ 4 / 5
・映像・音響 ・・・ 5 / 5
・演技・登場人物 ・・・ 3.5 / 5

コメント