歪ではあるものの【映画】

4.5
映画レビュー

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女【レビュー】

 「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」から12年後を舞台に、腐敗した地球連邦政府に反旗を翻す青年ハサウェイ・ノアの戦いを描く、3部作の第2部。

 青年たちの愛憎入り乱れる人間模様を中心に描かれた本作。

 好き嫌いは分かれそうですが、個人的には不思議と見易く惹きつけられる内容でした。

あらすじ

「シャアの反乱」と呼ばれた第2次ネオ・ジオン抗争から12年後の宇宙世紀105年(U.C.0105)。

 圧政を強いる地球連邦政府に対し、政府高官の暗殺という方法で抵抗を開始した反地球連邦組織「マフティー」。

 そのリーダー、マフティー・ナビーユ・エリンの正体は、一年戦争をアムロ・レイとともに戦ったブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアだった。

 不思議な力を示す少女ギギ・アンダルシアの言葉に翻弄されながらも、マフティーとしての目的遂行のため歩みを進めるハサウェイ。

 一方、マフティーを追う連邦軍大佐ケネス・スレッグは、刑事警察機構のハンドリー・ヨクサンから密約を持ちかけられる。

 ハサウェイとケネスがそれぞれの目的のために動くなか、ギギもまた自分の役割のため、ホンコンへと旅立つ。

人間関係中心の構成

 ガンダムシリーズなのだから、MSの戦いがメインっぽく感じるかもしれませんが、本シリーズは人間の物語にかなりフォーカスしています。

 前の第一部でもそのような描かれ方をしており、本作においてもそれはおおよそ変わらず。

 ガンダムシリーズ自体、その世界の情勢の話や人間模様を多く描く作品ではありますが、本シリーズはその色がより一層濃いのだと、改めて感じました。

色々と小難しい

 宇宙世紀シリーズ自体、あまり単純な話というわけではありません。

 ただでさえそんな世界観なのに、主人公の立場はテロリストであり、個人の価値観や感情、独特な正義感によって動いていくことが多いため、より複雑になっていると感じます。

 登場人物に共感できたり、今までの経歴を解してそれぞれの立場や価値観に理解を示せる人であれば、納得して見ることはできると思います。

 また、ある程度小難しいことを流せれば、ほかの要素のおかげで楽しむことはできそう。

 ただ、そうでない人はよく分からない、納得できないまま終わってしまうことにもなりそうです。

控えめなMS戦

 第一部ではちょろっとしか出てこなかった、ハサウェイの搭乗機・Ξ(クスィー)ガンダムやレーン・エイムのペーネロペー。

 今回もすごい見せ場は一つずつくらいですが、前回より露出は多めでした。

 やはりMSでの戦闘ではラストの戦いが一番の見せ場。

 前回のラストの戦いは、夜だったこともあり、MSの全貌がよく分からないというのが正直なところでしたが、今回はやや明け方に近く、比較的うっすらと機体の色合いなども確認できるくらいにありました。

 個人的に思うところではありますが、これは物語が進むにつれて機体が明確に視認できるようになっていくものなんだと思われ、次回作に期待を持てる演出の一つのように思えます。

 またラストの、作画にすら新旧入り乱れる戦いは、途中から見始めた私ですら興奮を覚えるくらいのもので、これが昔からシリーズに思い入れのある方であれば、より一層感慨深いものになるのではないかと思われます。 

 一つ残念なのが、この二人以外のMSの活躍は総集編ばりにカットされているところ。

 構成上、削られても支障は無い部分ではあるが、欲を言えば見たかった。

ドロドロの人間模様

 中心となるヒューマンドラマですが、内容はなかなかに歪な様相を呈している。

 主人公のハサウェイは、思想に傾倒する、あるいはしなければならないという強迫観念に駆られ、人の情からなんとか目を逸らそうとしている。

 そんな感じだから、同じ組織にいる元カノのケリアとはギスギスしっぱなし。

 で、そんなケリアをワンチャン狙う同僚もいますよ、と。

 一方、ハサウェイの心を揺さぶる、どっかの爺様の愛人・ギギは、周りに茶々入れながら自由奔放にチョロチョロしてます。

 ケネス大佐は、現地妻作ってよろしくやっている。(ギギにちょっかい掛けられていましたが)

 メイン所を挙げただけでも、どなたも青き清浄なる紳士・淑女とは言い難い面々。

 ただ、こんな面子の織りなす生々しい人間模様だからこそ、何か惹かれるものがあるのもまた事実のように感じます。

総評

 字面だけ見ると、内容は結構尖っております。

 実際設定はそうだと思います。

 ただ、だからと言って見るに耐えないだとか、つまらないということは不思議となく、人は選びそうなものの、個人的にはむしろ引き込まれる世界観でした。

 また、映像や音響は素晴らしく、それだけでもかなり楽しめます。

 3部作の中の作品ということで予備知識は必須ですが、ガンダム歴の比較的浅い方でも惹きつけられる要素のある作品であると感じました。

評価

・評点 ・・・ 4.5 / 5

・脚本 ・・・ 4 / 5

・映像・音響 ・・・ 5 / 5

・キャラクター ・・・ 4 / 5

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