シンガーソングライターである「ブルース・スプリングスティーン」のキャリアの岐路を描く本作。
従来のミュージシャンの半生を描いた作品のようなものを期待して、彼の事をよく知らないままに本作を観にいってしまったのですが、これがあまり良くなかった。
空気感は楽しめたのですが、ストーリーにはイマイチついていけませんでした。
浮き沈みのなく分かりにくいストーリー
ストーリーに関しては、浮き沈みのあるスプリングスティーンのキャリア人生の一部を切り取り物語化したものである。
しかしその一部は、期待されるものとして物語とするには、少し地味で限定的すぎる箇所に思える。
「ボヘミアンラプソディ」や「ロケットマン」など、他のミュージシャンの半生を描いた作品のように広い範囲での時間軸を切り取れば、例えばアマチュアからプロになるまでの道のりだとか、仲間との出会いなどの過程や成功した瞬間など、多くの山場を描けただろう。
だが、この作品では一度成功してキャリアの岐路に立ち、方針を変えて再起するまでの過程のみを切り出している。
これからのキャリアに悩む場面や恋人や父親との確執など、何かが起こりそうなところはあるものの、大きな事は起こらずに収束するといった感じで肩透かしを喰らう。
そのため、全体的にあまり感情を揺さぶられない、平坦な道のりの作品といった印象。
スプリングスティーン本人の実際の体験なのだからそれはそれで仕方ないことなのだが、そうなるとどうしても盛り上がりに欠けてしまうと感じざるを得ない。
また、流れが分かりづらい。
けっこう急に場面や様相が変わるといったことがある。
これは、私がスプリングスティーンについて知らなかった影響もあると思うが。
物語初めから彼のキャリアの途中から始まり、急な場面の転換もあるため、前知識が無いと頭の中を整理しながら観ることになり、流れを掴みづらくなった。
事前にある程度は彼の事を知っておいた方がいいかも。
ただ、個人的にはそれを差し引いても表現としてわかりづらいと感じる。
彼のファンや知っている方であれば、楽しめるのかもしれない。
映像や雰囲気は嫌いではない
物語は難解だったものの、それに合わせて作っているであろう映像と雰囲気は一貫している。
解像度の低い映像で撮っているため、スクリーンには当時の空気感が出ている。
また、やや暗めの描写が多く起伏の少ないストーリーではあるが、それを表現するように初めから終わりまであまり色の無い背景が多い。
田舎の描写でさえ、木々は葉を散らせており青々とした葉を付けていることは無い。
キャリアが下向きになり始めたスプリングスティーンが再起するまでの道程を、肌寒さを感じる秋や冬の情景のように表現していて、全体の雰囲気に合っていると思う。
物語に沿った映像・雰囲気作りという点では最後まで一貫されており、そこは良いと感じる。
総評
当時の空気感を視覚的に感じられるという面では、良いものを感じました。
ただ、ストーリーはファンなどの知っている方へ向けられた描かれ方をしており、全く情報のない人が観るとよく分からないとなりそうです。
前知識のある方は、彼がどういった道を歩んで世間に知られているような再起を果たしたのかが分かり、楽しめるかもしれません。
しかし、そうでない方は上記のために、よく分からず退屈ということになるかもしれません。
それでも見に行くのであれば内容より雰囲気をのんびり楽しむつもりで行った方が良いと思います。
評点
評点 ・・・ 2.5 / 5
脚本 ・・・ 2 / 5
映像・雰囲気 ・・・ 4 / 5


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