前回に引き続き公開されたズートピアシリーズ2作目。
予告や前評判からも、かなり期待が持てそうな作品でした。
観た感想としては、前作の世界観を活かして展開される魅力的な物語で、かなり楽しめる期待通りの作品でした。
あらすじ
あらゆるタイプの動物たちが平和に暮らし、「誰でも夢をかなえられる」という理想の楽園ズートピア。
ウサギで初めて警察官になるという夢をかなえたジュディは、以前にも増して熱心に任務にあたり、元詐欺師のニックも警察学校を無事卒業して警察官となった。
再びバディを組むこととなった2人は、ズートピアに突如現れた指名手配犯のヘビ、ゲイリーを捜索するため、潜入捜査を行うことになる。
ゲイリーは一体何者なのか。やがてジュディとニックは、ゲイリーと爬虫類たちが隠すズートピアの暗い過去にまつわる巨大な謎に迫っていき、その中で2人の絆が試されることとなる。
ちょうど良い広がりを見せる世界観
前作が、草食動物と肉食動物との対立の上にあった一つの町でのズートピア市長との戦いであったのに対し、今作はズートピア設立からの哺乳類と爬虫類の対立に基づく敵との戦いという構図で、前回よりちょうどよくスケールアップした世界観となっています。
2にもなると、前回より世界を広げて描かなければいけないところが多い。
しかし、広げ過ぎれば前回との差が大きくなってしまい、作品全体が白けてしまう恐れもある。
そんな中、今作は広げるにしてもちょうど良い感じで収まっており、前作から大きく乖離するようなことは無く描かれています。
それが、期待にちゃんと応える作品になった要因であると思えます。
メッセージ性はあれど
ズートピアという作品自体、多様性を訴えるメッセージ性の強い作品ではあります。
今作も、迫害を受けた爬虫類が居場所を取り戻すために奮闘し、それに主役の二人が巻き込まれ、引いてはズートピアの設立に関わる秘密が明らかになっていくと言うもの。
アメリカの歴史に既視感のある情景が盛り込まれています。
昨今のディズニーの傾向として、そこに盛り込む思想が強く出てしまい、結果として映画を純粋に楽しめなくなるということが多々あります。
しかし、本作は作品に盛り込まれたメッセージがなんとなく分かっても、それが説教くさいだとか押し付けがましいだとかを感じることはなく、純粋にエンタメとして受け取れるものとなっていました。
キャラクター
・ニック
前作から、大きく魅力を増したと感じる元詐欺師の狐。
飄々とした態度で構えてはいるが、周囲と比べると常識的な意見を言うことが多い。
ジュディをはじめ周りに振り回されることが多く、元詐欺師でありながら苦労人ポジション。
突っ走っていくジュディに対して自身がどう行動すべきか葛藤するシーンがあるなど、何と言うか人間臭い一面を見せる彼に魅力を感じざるを得ません。
警察官としての働きというのは本作ではあまり観られなかったので、続編ではそれに期待したいところ。
・ジュディ
相変わらずな兎の警察官。
ニックのように立場が大きく変わったわけではないので、前回と変わらず猪突猛進な正義感で動くという感じ。
いいキャラクターではあるのですが、それが少し鼻につくかも。
可愛いキャラで、魅力的な物語も彼女ありきなところはありますが、個人的には散々周りを振り回して悪びれる様子も反省する様子もあまりないというのが、少し鼻についてしまいました。
・新キャラと前作からのキャラ
ゲイリーをはじめとする新キャラ達は、主役二人の他にも魅力的なキャラがいる世界の中にしっかりと溶け込んでおり、かつ自身の持つ魅力もアピールできており、埋もれることなく世界観に馴染んでいました。
前作から出てるキャラ達も多く出ており、どのキャラも自分の持ち味を出し、各々が物語を彩っているといった形です。
期待通り?
前作を見ても予告を見ても、大きな期待を持てる作品であり、その期待に応えてくれるような内容でした。
楽しめる良作であったのは間違いありません。
ただ一つだけ言うと、期待通りであった一方、思った通り予想通りな範疇の作品であったとも言えます。
前評判が良く、期待が大きく膨らんでいたためハードルが高かったのも要因ではありますが、それを差し引いても予想以上の感動があったかというと個人的にはありませんでした。
しかし、これはシリーズものになるとある程度は仕方がない。
良くも悪くも期待通りであれというのが、シリーズで出し始めた作品の宿命とも言えましょう。
カレー頼んだらカレーが出てくる、ラーメン頼んだらラーメンが出てくる、これに関してはもうそれでいいのではないかと思います。
総評
脚本も良く、視覚的にも楽しめる期待通りの作品でした。
欲を言えば、期待以上の何かが見たかったというのもありますが、良い意味でディズニーらしさというのが出ている、近年あまり見ない良作だと思います。
3作る気満々みたいですが、作るのであればこの流れを維持したまま新たな脚本を描いていただきたいところです。
評価
・評点 ・・・ 4.5 / 5
・脚本 ・・・ 4 / 5
・映像・音楽 ・・・ 4.5 / 5
・キャラクター ・・・ 5 / 5

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