巨悪に抗う男のドラマ【映画】コート・スティーリング【レビュー】

3.5
映画レビュー

 「ブラック・スワン」「ザ・ホエール」の鬼才ダーレン・アロノフスキーが、「エルヴィス」のオースティン・バトラーを主演に迎え、90年代ニューヨークを舞台に描くクライムアクション。

 クライムアクションと銘打たれていますが、個人的にはヒューマンドラマとしての側面に魅力を感じる作品でした。

あらすじ

 1998年、ニューヨーク。

 かつてメジャーリーグのドラフト候補になるほど野球で将来を嘱望されたハンクだが、運命のいたずらによって夢は潰え、今はバーテンダーとして働きながら恋人のイヴォンヌと穏やかな日々を送っていた。

 そんなある日、変わり者の隣人ラスから突然ネコの世話を頼まれる。

 親切心から引き受けたのもつかの間、街中のマフィアたちが次々と彼の家に殴り込んでくる。

 ハンクは、自分が裏社会の大金絡みの事件に巻き込まれたことを知るが、時すでに遅かった。

 警察に助けを求めながら逃げ回る日々を送る中で、ついにある悲劇が起こる。

 ついに堪忍袋の緒が切れたハンクは、自分を巻き込んだ隣人やマフィアたちへのリベンジを誓う。

脚本

 テンポの良い脚本。

 浮き沈みの激しい展開であるものの、一定のペースで物語が進行していくので、急展開すぎたり冗長すぎたりというようなことがあまりなく観やすい。

 物語の構成成分は、

 酒、セックス、野球、猫、暴力、銃、マフィア

 と、一般人が裏社会の闇に触れてしまうというものではバランスの取れた要素だと感じます。

 あらすじ的に尖った感じになりそうではありますが、作りは割と丁寧。

 主人公のハンクの行動一つ取っても、動機などがしっかりと描かれ、それに基づいて彼が行動し物語が展開するため、そういう部分ではもやもやすることが無い。

 結末は、割と単純なところに落ち着いたとも思いますが、展開的にそれが落とし所とも取れます。

アクションシーン

 クライムアクションとは言っていますが、アクションシーン自体は比較的控えめ。

 主人公のハンクは、あくまでも一般の青年のため、初めはマフィア相手に一方的に殴られる描写が結構あります。

 暴力シーンは、かなり生々しいものがあり、時には胸糞悪く感じることもあると思います。

 また、こんな内容であるにも関わらず、ハンクが戦うシーンというのは意外と少ない。

 爽快感という意味では、そこまであるというわけではないので、スカッとしたいという方には物足りなさがあるかも。

 ただ、そこが妙にリアリティがあるというか、迫真な表現であると感じました。

音楽

 挿入歌を含む音楽は、作風を示すようにパンクなものが多い。

 作品の雰囲気によくあっている選曲と思われます。

 ただ、不協和音を含む、結構ハードよりなものもあるため、好みは分かれるかもしれません。

 可愛い。

 作中で悪党に蹴られるという展開はありますが、実際に蹴られるシーンはないのでご安心ください。

つい目で追ってしまうエンドロール

 エンドロールといえば、よっぽどのことがなければ大概は見られもしないもの。

 しかし、昨今であれば趣向を凝らしたものもあります。

 そんな中、本作は私が見てきた中でも、かなり面白い部類のものになっていたと思われます。

 内容を読む気はあまりありませんでしたが、ついつい目で追ってしまうような出来でした。

 この辺も是非、見てみて頂きたいところ。

総評

 痛々しいシーンや胸糞悪い表現もありますが、それらがいい具合に感情を揺さぶってくれます。

 作品紹介などでも復讐劇が強調されているため、アクションものを期待しそうな部分もありますが、丁寧に描かれたヒューマンドラマであると感じました。

 同時期に公開されている「ワーキングマン」と同じ、一般人VSマフィアという構図ではありますが、こちらは爽快感という部分では多少物足りなさを感じます。

 しかし、脚本の内容はこちらの方が良いと感じますので、そちらを重視するという方は本作を観てみてはいかがでしょうか?

評価

・評点 ・・・ 3.7 / 5

・脚本 ・・・ 4.5 / 5

・音楽 ・・・  3.5 / 5

・キャラクター・演技 ・・・ 3.5 / 5

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