現代アメリカを代表する犯罪小説の巨匠ドン・ウィンズロウの原作のクライムアクションスリラー。
クライム系なので少し身構えていましたが、思いのほか見やすい内容で、期待してたものとは少し違ったものの、気持ちよく楽しめる作品でした。
あらすじ
高級なスーツと時計を身に着け、悪者だけをターゲットにし、痕跡は一切残さない。
そして、必ずアメリカ西海岸線を走るハイウェー101号線に出没するという独自のルールのもと、白昼堂々、狙ったものを確実に奪う犯罪者デーヴィス。
4年間にわたり一切のミスもなく完璧な犯行を繰り返してきた彼は、人生最大の大金を得るため、高額商品を扱う保険会社に勤めるシャロンに接触し、共謀を持ち掛ける。
しかし、その選択が思わぬ綻びを生む。
1100万ドルの宝石をターゲットにしたシャロンとの裏取引は成功したかに思えたが、犯罪組織や警察、そしてデーヴィス捜査網を敷くルー刑事らの思惑が絡み合い、彼の犯罪計画とルールは次第に崩れていく。
いい塩梅の脚本
物語は、クリス・ヘムズワース演じる犯罪者のデーヴィスを中心に、それを追う刑事と、その事件に関わってくる保険会社の会社員という、全く違う立場の3者の視点で展開する。
3者が仕事の上で関与していく中、それぞれが置かれている立場で思い悩み、その結果、彼らはどのような行動を起こしていくのかというもの。
主人公の犯した犯罪を中心にしているため、闇深い部分が多く絡みそうではありますが、その実、それぞれが人間臭さのある悩みと向き合っていく、ヒューマンドラマ的な側面が大きい。
クライム系といえば、というような人の生々しいところ、闇深いところ、汚さというようなものは、割と控えめであったように感じます。
そのため、全体的にライトで見やすい作品となっていたように感じました。
意外と味のある役者陣
作風をそうしたかったというのもあるでしょうが、役者陣も結構渋みのある感じに仕上がっていると思われます。
特に主演の二人は意外性も相まって良かった。
マイティ・ソー役のイメージの強いクリス・ヘムズワースは、本作のように渋くオシャレな仕事人でありながら、プライベートでは他人と目線も合わせられないという、控えめなキャラクターを違和感なく演じているのは意外でした。
また、こちらもハルク役でお馴染みマーク・ラファロは、昔ながらの推理小説にでも出てきそうな、味のある刑事を演じております。
アクション
アクションシーンは割と控えめですが、内容は良いと思われます。
人同士の闘いは、殴り合うというよりは、どちらかが一方的にやるバイオレンスシーンの方が多いので、爽快感という意味では物足りないかも。
カーチェイスシーンは迫力もあり、かつ、やり過ぎ感も無いため、車の出す疾走感を純粋に楽しめる形になっていたのが個人的には好きです。
車愛
本作には、かなりシャレた車が多く登場します。
車はあまり詳しく無いので細かいことは分かりませんが、どれも最新式というものではなく、むしろ少しレトロな感じで味のある車種が出ており、見ていて楽しい。
さらに、それらの車種について語るシーンや、愛おしそうに触れるシーンがあり、制作側に車愛があるのだと伝わるようです。
昨今『ワイスピ』が『ダイ・ハード』化していて、趣味を語り、表現するジャンルに対し寂しさを感じてもいたため、個人的にここは点数高いです。
総評
闇深いところに触れ、ディープな内容になるかと思われましたが、思いのほかライトで見やすい内容であったと感じます。
ヒューマンドラマの側面が強く、理解や共感もしやすい内容だと感じます。
また、物語を彩る本筋以外の要素も愛があり、出しゃばりすぎず控えめすぎないでいい塩梅のバランスの取れた内容になっていました。
結末については、爽快感という意味ではあまり無いため、そこの評価は分かれそうです。
しかし、少し哀愁を帯びながら気持ちよくいい感じにまとまった最後は、個人的には気に入ってます。
評価
・評点 ・・・ 4 / 5
・脚本 ・・・ 4 / 5
・アクション ・・・ 4 / 5
・登場人物 ・・・ 4 / 5

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